【14/64】火天大有(かてんたいゆう)
※大有は、めいめいが身分相応に、時と場所を得て満足している状態。また、盛大・豊富の意味も。
火天大有はその状態を長く保つようにしなさいとした卦です。
上の図を見ると、ひとつだけ陰爻があります。陰爻が丁度君子の位置にあることから、騎士に守られた女王とも見ることができます。女王は支配力と包容力があり、両方を兼ね揃えないとその位置で国を統治することは難しいのでしょう。
また象徴として見ると、太陽が空で強く明るく輝いているように見えます。
卦辞「大有は元(おお)いに亨る」
⇒物事が盛んな時は全てが滞りなく順調に進む。
上爻:天からの助けを味方に。
爻辞「天より之を祐く。吉にして利ろしからざるなし。」
⇒天からの助けがある。大変よろしい。
志が神の御心に適っているため、ご加護を受けることが出来るとしている。
5爻:親交と威厳のバランス。
爻辞「厥の孚(そのまこと)、交如(こうじょ)、威如(いじょ)たれば、吉」
⇒君子には豊かな才能や強い力があるわけではなく、周囲に助けられている。
よい世代を保つためには、下の位の賢人を頼るほかない。そのために協力することと、君子の威厳とどちらも大切。
4爻:自制大事。
爻辞「其の彭(そのほう)たるに匪ざれば、咎无し」
⇒慎ましくしていれば、咎められる過失もない。
本来は相当な勢いがある4爻だけれど、自制して控えめにしなければ・・と努めている状態。
3爻:あなたの器は?
爻辞「公用て天子に享す。小人は克(あた)わず」
⇒自分の才能や富を、世のために捧げる。しかし、器が小さいものでは捧げることはできない。
2爻:君子のために。
爻辞「大車以て載す。往く攸(ところ)あり。咎无し。」
⇒大きな車に載せるほどの才能や徳がある。それを役立てるべき所に進むなら咎められない。
才能と品格、強さをもつ賢人で、さらに謙虚さも備えている。世の為人の為に開花せよ。(2爻と5爻が協力しあう関係)
初爻:手綱をひいて…
爻辞「害に交わる无し。咎に匪ず。艱(なや)めば則ち咎なし。」
⇒害或るものに関わらない。慎んでいれば咎められるような過ちはない。
盛運のときは怠慢や贅沢に陥りやすいが、初爻の位置はまだ盛大さもまだそれほどではないので、害に交わる危険もない。このまま手綱をひいて進めばよい。
序卦伝:人と同じくする者は物必ずこれに帰す。故にこれを受くるに大有(たいゆう)をもってす。
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