今日はどんな話をしようか。

羽川くるみの日常。

【易ノート】11/64地天泰(ちてんたい)

【11/64】地天泰(ちてんたい)

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 ※「泰」は、すべてが落ち着いて安らかな状態。衣食住の安らかさも意味する。

 

「泰は、小往き大来る。吉にして亨る。」

~天下泰平についての道をしめした卦~

内卦である天の恵みが、時間の経過とともに外卦の地(土地)に施され、そこに生息するものが育っていくと読みます。
六十四卦の1番目から10番目まで伸び悩んだり養ったり待ったり争ったりと色々経て漸くの「泰」の時代です。ですがそれも長くは続きません。次の12番目には「天地否」という卦が待っています。
安定した状態をどう保っていくか、「均衡はいつか崩れる」と知りながらどう対処すれば良いのかを考えさせてくれる卦とも言えます。

 

上爻:泰平の終わり。

爻辞は「城隍に復る。師を用いる勿れ。邑より命を告ぐ。貞なるも吝。」

城が崩れる。武力をもって争っても無理だ。君主の命令も上手く伝わらない。正しい命令でも伝わらなければ恥となる。
「師」は地水師の師と同じで兵の意味です。もう城も崩れてしまって、これ以上は武力で抗っても無駄だと。命令も上手く伝わらない状態まで来てしまった。こうなるまで放っておいたのがいけなかった。

 

5爻:君主と臣下の信頼関係(2爻と5爻の応爻)

爻辞には、君主が自分の妹を信頼する臣下に嫁がせることが書いてあります。
地天泰の5爻は陰爻です。君主としては力及ばずという事が分かっている。そのためによく出来た頼もしい部下を挙げ用います。その忠義に報いるため自らの妹君を嫁がせる・・というわけです。

 

4爻:大臣と市井の者の関係(初爻と4爻の応爻)

4爻は大臣の位。君主を支えて泰平の世を維持していくのがお仕事・・なんだけれど、この大臣は陰爻。何をするにも骨が折れます。そこで、自分が高い身分ということを忘れて、位によらず賢人の教えを受けようとします。国の安泰を願ってこその行動。

 

3爻:油断してはならぬ、という戒め。

(内卦の終わりは不安定)平らなものがいずれ傾くように、泰平の世もいつまでも続かない。気運は逆らえるものではないので、日々正しい道を守っていれば過失からも免れるだろう、むやみに心配しすぎることもない。

 

2爻:天下泰平を維持するには・・・

・何人たりとも寛容な心で包み込む(小さき器の人間や悪人でも)。
・危険を恐れない決断力。
・国の隅々にまで目を配る賢さ。
・私的感情を抜きにして公平に努める。
というスローガンをもっているからだ、と2爻(部下)は言います。この部下のことを5爻(君主)はとても信頼し、聞き入れて天下泰平を維持しようとしています。

 

初爻:チームワークで進もう。

爻辞「茅(ちがや)を抜くに茹たり。其の彙(たぐい)を以てす。往けば吉。」
「ちがや」という草を1本抜くと、その根が連なって抜けるように、仲間と協力して前進すれば吉ということ。
天下泰平のために、有能な人物が埋もれることなく登用される。4爻の大臣は賢人の声を聴きに市井に下りてくる。そして民である賢人もまた大臣に力を貸すという協力体制。

 

 

序卦伝:履んで然る後に安し。故にこれを受くるに泰をもってす。

 

 

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