今日はどんな話をしようか。

羽川くるみの日常。

【易ノート】12/64天地否(てんちひ)

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令和3年も9月となりました。
少し間が空きましたが、引き続き易ノートを再開します。

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【12/64】天地否(てんちひ)

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※「否」は、口に蓋をして開くことが出来ないという意味。

卦の形を見ると、天はあくまで高く、地は低く、それぞれ両者が分離して混ざることのない様がみれます。これを人も立場を得ていないときと読みます。

 

「否は之え人に匪(あら)ず。君子の貞に利しからず。大往き小来る」
~ふさがって通じない~

 天と地の両方の気が別の方向に進んでいることから、人と意見が合わない、まとまりがないということを意味します。ただし物事の流れとしては、初爻~3爻が陰爻、4爻~上爻が陽爻なので、やがて光が差すといえます。

 まとまりがない状態でもがいても八方塞りになったり、悪化させてしまうことも。トラブルに飛び込むよりは傍観者でいるほうが無難とされる。意地ははらないこと。

 

 

上爻:天地否の気運の終わり。

爻辞「否を傾く。先には否(ふさ)がり後には喜ぶ。」

 これまで通じなかったものが、互いに通じ合うようになる。

 

5爻:恐れの自戒。

爻辞「否を休す。大人は吉。其れ亡(ほろ)びん其れ亡(ほろ)びんとす。苞桑(ほうそう)に繋ぐ。」

 塞がって通じないという気運を一時停止することは出来たが、今に滅びるかもしれないと恐れて自戒する姿。苞桑とは桑の細い枝を指し、今にも折れそうで危ういのだという気持ちが込められている。油断大敵。

 

4爻:大臣の頑張り。

爻辞「命(めい)有り咎无し。疇(たぐい)祉(さいわ)いに離(つ)く。」
(この離は「はなれる」ではなく「つく」)

 なかなか状況が良くならなかったが、ここにきて徐々に気運に変化が訪れようとしている。君子に一番近い位の4爻は、移り行く天命を見て君子のために努力をします。
 その姿を誰が咎められようか、として仲間もみな大きな福を得られるという爻辞。

 

3爻:媚びた姿を恥ずべき。

爻辞「羞(はじ)を包む。」
(3爻は不安定なポジション。そして正位(陽)に対して陰爻なので位置も得ていない)

 才能に乏しく、志も正しくない者。このような者が力もないのに上の者に媚びて、自分の地位を守ってもらっている(包容)状態。それは恥ずべきことだという爻辞。

 

2爻:素直で力弱き者

爻辞「包承(ほうしょう)す。小人は吉。大人は否(ひ)して亨る。」
(正位(陰)に対して陰爻。力が弱い状態)

 力が弱い2爻のもとへ、包容してくれる優れた者がやってくる。包み込まれて救われるという状態。もし、そもそも2爻が強くて優れていたら、安易に包まれることは自身の道を曲げることになる。けれど、逆らって自分の道を明らかにするのではなく、順応し包み込まれてその時(優れた者になる時)が来るのを待つという爻辞。

 

初爻:志を入れ替えて...。

爻辞「茅(ちがや)を抜くに茹たり。其の彙(たぐい)を以てす。貞吉にて亨る。」

 「茅~以てす。」まではひとつ前の地天泰・初爻と同じです。
 あちらは、身分が低くても優れた者をより多く登用したほうが天下泰平に繋がる・・というような意味合いで使用されました。
 天地否の初爻は、志の良くない者を一人登用すると、他の似たような者も登用される。もし志を入れ替えるならば吉となり福を得られる、という読みになります。

 

 

序卦伝:泰とは通ずるなり。物はもって終に通ずべからず。故これを受くるに否をもってす。

 

 

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